【ドラマ】カルテット　第１話　感想　唐揚げにレモン絞りますか？

こんにちは、このりです。

カルテット第１話。

カルテット第１話。

歳を重ねれば重ねるほど、些細な事に苛立ちを感じる。
どんなことでも、イライラしてしまう。
それは罪悪感にさいなまれるという事だ。
子どもの頃は何か正しくて、何が間違ってるかなんてわからない。
だからこそ何をされてもイライラすることも無いし、それが当たり前なのかなって思ってしまうからだろう。

レモンを絞るかどうかを考える、それはちゃんとした大人であるという事

カルテットの４人が別荘で初めての飲み会が行われて、酒のお供は出来立てホヤホヤの手作り唐揚げ。
別府司(松田龍平)と世吹すずめ(満島ひかり)が大皿にのった唐揚げすべてにレモンを絞ってしまった。
すると家森諭高(高橋一生)がめちゃくちゃキレる。
レモンをかけないで食べたい人もいるという事を語るのである。
そんな彼は唐揚げにレモンは絞る派ではあるけれど、一言聞くことが重要だと語るのだった。
この話が１話の後半からとても重要な内容になってくるのだが、それは巻真紀(松たか子)の過去につながる。
この唐揚げにレモンを絞るか絞らないか問題は僕的には経験だと思う。
注意されることも無ければ一生勝手に絞っていくだろうし、注意された経験があれば相手の事も考えて気にするようになる。大人になるってレモンを絞るかどうか考えるようになるってことだと思う。
という僕自身は勝手に絞られても何とも思わないのだけれど。
諭高からすると、そんなマナーの守れない二人が許せなかったんだね。

嘘と罪と成敗

カルテットの面々が雰囲気の良い演奏ができるレストランを見つけるのだけれど、そこにはすでにベンジャミン滝田という余命９ヶ月のピアニストが演奏していた。しかし彼はもうそのレストランで１年以上演奏をしている。
彼の事は真紀は顔見知りの様で、昔から余命９ヶ月とうたって演奏している事を思い出す。
彼女はレストランのオーナーにその事をチクるのだった。
そして、ベンジャミンはあえなくそのレストランを後にすることになる。
その彼女の行動に司は「もっと違うやり方があったのでは？」と不機嫌になるのだった。
僕自身も彼と同じように思うタイプなのだけれど、それには理由がある。
余命９ヶ月という嘘について不謹慎ではあるだろうけれど、そこまで腹がたたないのだ。
その嘘にはベンジャミンの注目されたい、音楽で食っていきたい、生きるためにはそうせざる負えない、という気持ちが垣間見えたからだ。
ただね、嘘は嘘。いけないことだってこともわかってる。
つきたくなくても自分の気持ちにすら嘘をついて生きて行かなければならない事もある訳だ。
だからこそ他人の嘘に腹が立つのもよくわかる。
この嘘が彼らの道を塞いでいたのだから、振り払うのも当然である。
彼女にとって嘘は怒り狂うほど耐え難い行いで、成敗しなくてはいけない事だという価値観なのだろう。

愛してるけれど、好きではない

真紀の旦那は失踪したらしい。
しかし、彼女の旦那の親？は真紀が殺したと思っているらしい。
その為にすずめを真紀に偶然を装いで合わせて証拠をつかませようとしているようだ。
真紀には旦那を殺す動機がある。
それが唐揚げに繋がるのだ。
旦那は唐揚げが大好きだった。それは真実だったようで、旦那がよく行く定食屋で唐揚げ定食を注文している姿を見かけてわかった事らしい。
しかし、そこにはひとつの嘘があった。
２年間一緒に居た真紀が知らない真実。
旦那はレモンを絞って食べることを好まないタイプだった。
いつも勝手に彼女はレモンを絞った唐揚げを振舞っていた訳だ。
旦那さんは良かれと思って何も言わなかったのかもしれない。そこまで深い意味は無かったのだと思う。
ただ彼女にとってその優しい嘘は罪だった訳だ。
その嘘だけではなく、同僚に旦那はこう語った。
「妻の事は愛している、ただ好きではない」
彼女にとってはこれがとどめの一撃だったのかもしれない。
まあ、殺したかどうかは分からないけれど。

良かれと思っての行動

人というのは罪悪感の中で生きている。
罪悪感が強ければ強いほど、憎しみや苛立ちに変わる。
自分を傷つける事から逃避するために相手を傷つけるのである。
唐揚げにレモンを絞ることが良かれと思ってやっていたけれど、本当は嫌だった。
その事になぜ私は気づけなかったのだろうという罪悪感。
愛してはいるけれど、好きではない、その意味は好みではないという事ではないだろうか？
好みの自分で居れなかったことへの罪悪感。
その罪悪感は憎しみに変わり、凶器へと変貌してしまったのだろうか？
そう考えると真紀は本当に殺したのかもしれないなと思うのだった。