【処女】勝手にふるえてろ【喪女】

こんにちは、このりです。

「勝手にふるえてろ」

「勝手にふるえてろ」

この作品、多分作者が伝えたかったことってこれだと思う。
「処女」を可愛いと思う奴はキモイ…これ。
綿矢りささんの事は芥川賞を受賞した時にニュースで知った。
結構、僕の中では印象的なニュースだった。
なぜ、印象的だったかと言われると年齢が僕と近かった事、彼女が整った容姿をしていたからだ。
こんな美人な人が小説を書くのかと驚いたのを覚えている。
綿矢さんなりの心の声を、この作品と主人公に込めたのかなと思う。

あらすじ

松岡茉優が主人公の24歳の喪女のヨシカを演じ、中学時代から10年間脳内で片思いを続けている「イチ」北村匠海、ヨシカに猛烈アタックを仕掛ける会社の同期「ニ」渡辺大知との間で揺れるという恋愛コメディー。
理想と現実の選択にもがき苦しむ喪女をリアルに描いた作品。

感想

前半

正直、ヨシカは性格が悪い。
この性格の悪さはいくら松岡茉優さんが可愛いとしても見ていてしんどかった。
逆に言えば、松岡茉優さんの演技が素晴らしかったともいえる。
どう性格が悪いかと言われると、まずプライドが高すぎる事だ。
自分がやりたい事と自分がどう見られているかという事を意識しすぎるがゆえに何もできないというタイプ。
そしてプライドが高いがゆえに相手を見下して生きているという事。
別に見下すという事が失礼だからと言いたいわけでは無いし、誰しもが見下しながら生きている部分はある。
ただ自分が見下されることに対して発狂する癖に、自分は見下しているという破滅的な性格が問題だったりする。
だからこそ、序盤は観ていて面倒くさい奴だと思いながら見ていた。

後半

しかし、ニが現れることによってヨシカに変化が現れるのである。
変化というべきか成長というべきかはわからないが、強制的に辱めにあうのである。
観客からしたらたいした事ではないのだが、ヨシカからしたら屈辱的なのだ。
そこからのヨシカは感情をあらわにして冷めた価値観を維持できなくなる、その姿はコメディーというにふさわしい物だった。
この作品を共感しながら見ている層は自分が面倒くさいという事を自負しながら見ている事だろう。
僕自身も共感できる部分があって反省しながら見ることが出来た。

ヨシカの救世主はニだった

イチはイケメンだし、性格もいいけれど、ヨシカには釣り合わないほど高貴な悩みを持っていた。
ヨシカには到底歩み寄ることが出来ないほど、輝いているのである。
輝いた人の傍で寄り添うためには、自分も輝かなくてはならない。
ヨシカには役不足なのである。
けしてヨシカが輝いていないというわけでは無いのだが、まだ二に出会って輝き始めたばかりの彼女には不釣り合いである。
そんなヨシカに恋をしてアプローチしているニは気持ち悪かった。
この気持ち悪いという表現は誉め言葉である。
ニはイケメンではないし、薄っぺらい見栄をはるのだけれど、素直で優しいのである。
ちゃんとヨシカに対してアプローチしていく行動力があり、周りの事なんて気にしていない。
自分がしたい様に、ヨシカが喜ぶ事を考えながら動いている。
その喜ぶ事が間違っているのだけれど、そこも含めてかわいらしいのだ。
女性からしたら、気持ち悪いの一言で終わってしまうような奴だけれど、そこがまた憎めない。

気持ちが悪く感じるのは好きじゃない相手だから

この作品は、ヨシカを見るのではなくニを見るために見てほしい。
女性に限らず男性にも言えるけれど、好きじゃない相手からアプローチされてもキモイだけである。
逆にどんなにキモイ行為であっても、好きな相手からの行動であれば嬉しいのだ。
残酷かもしれないけれど、女性に生理的に受け付けないと言われてしまうと、もう打開策は無い。

イイ男とは？

女性がイイ男を見逃す理由は、ニを見て勉強してほしい。
ピンとこない相手でも、実は行動力があったり、人一倍愛してくれる場合がある。
ニはイイ男だ。
イケメンでは無いし、不器用だし、空気読めないし、さり気あるキモさが漂ってる。
でも、自分本位ではあるにしても優しいし、行動力がある、なにより本気で好きでいてくれる。
最後のニの姿は男らしくて、包み込むような優しさと好奇心の中でふるえているのだ。