【映画感想】苦役列車【愛されたかった人生】

映画

 

こんにちは、このりです。

この映画を見た理由は、原作者の西村賢太さんが亡くなった事がきっかけだった。
正直、この映画は見たくなかった。
なぜなら、妬みや恨みの中で生きているような人なのかなと思っていたからだ。
そういう人の心は人を引き付ける。
自分は心が綺麗なわけでは無いけれど、どんどん引き寄せられてしまうのではないかと思ったのだ。
妬みや恨みがあふれることが怖かったんだと思う。

苦役列車から感じたこと

主人公が感じていた世間への不満や学歴コンプレックスは些細な事だったのかもしれない。
本当はただ誰かに愛されたかった人なのだと思った。
そう考えると、誰しもが共感できる部分がいっぱいあって、けして悪い人では無いのかなと思った。

あらすじ

19歳の主人公の貫多は、日雇い労働で生計を立てている。貫多が幼少期に彼の父親が性犯罪を起したことで家庭は崩壊した。両親の離婚、数度の転校を繰り返すなかで鬱々とした青春時代を過ごす彼は将来への希望を失った。やがて中学校を卒業した彼は、母親からむしり取った金を手に家を飛び出し、荷役労働に従事することで一人暮らしを始める。

ここから彼なりの青春とよぶには苦く屈折した感情の中で物語が進んでいく。

貫太は温もりに飢えていたように思う。
でも不器用でというには心が幼稚すぎて、上手く小細工が出来なかった。
誰しもが建前と本音を分けて発言するけれど、彼にはそのような物が無かった。
学歴コンプレックスというプライドが彼の根底にあって、そのコンプレックスを恨むことで自分を肯定している感じだ。

貫太の給料は、酒と風俗で毎回消えていく。
でも、本当に酒が好きなのだろうか?
女を抱くことが楽しかったのだろうか?
寂しさから逃れるための行為にしか見えなかった。
性欲を解消するため、気分を上げるため、一人でいる自分に耐えられなかったんだと思う。

読書しか楽しみがない

貫太が作中で、読書しか楽しみがないっと言っていた。
あれが偽りのない真実だったと思う。
行動では酒を毎日飲んで、給料が入れば風俗に行くのだけれど、でもそれは楽しい事ではなかったんだと思う。
あれだけ本を読んでいたにも関わらず、それはフィクションだと固定概念を抱いてた所には貫太の深い闇を感じた。
あくまでも、現実は非道で厳しいと心の底から思っていたんだろう。

苦役列車は私小説

この作品は西村賢太さんの私小説だと言われている。
彼がこのような作品を書き続ける理由も、これが現実なんだと自分に言い聞かせているように感じた。

貫太の良心

仕事場の同僚が事故で怪我をして、お見舞いに行くシーンで、「この先、生きていたって楽しい事はない」と絶望をぶつけられた時、貫太が初めて夢を語るシーンがあった。
きっと、貫太なりの慰めだったのかなと思う。
そのシーンを見たとき、少し貫太の事が好きになった。
「中卒だけど、小説を書きたい」そう言った時、初めて素直に喋ってるなと思えたからだ。

薄っぺらいプライド

貫太は勝手に自分と周りとの間に壁を作って、情けない強がりを見せている姿は見ていて醜かった。
しかし、そのプライドも人間だれしも持ってる物だと思うと許せる気がする。
薄っぺらいプライドにしがみついていないと、死んでしまいたくなるほど心が弱っている時ってあるよね。
本当に、辛かったんだなって思った。

生きたいと思う事とは、愛されたいと思う事

誰しもが誰かに愛されたいと思いながら生きている。
それが好きな人や気に入っている子だったら尚更。
誰かに愛されることが出来るというのは難しい事なんだと思う。
作中の貫太も作者の西村賢太さんも心底愛された経験があったのなら、こんなに不器用に生きなくて済んだのではないかと思った。

芥川賞を取った後の彼は?

西村賢太さんの事を詳しく知っているわけでは無いのだけれど、芥川賞を取った後の生活は変わったのだろうか?
人に優しくされて少しは人生を鮮やかに過ごしていたのかなと思うと、夢と希望を持てる話だと思った。

このり
このり

西村賢太さん、ご冥福をお祈りします。
良い作品を作ってくれて、映画という形ではありますが僕の心を揺さぶってくれてありがとうございました。

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